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お墓の跡継ぎがいないときはどうすればいいの?

近年跡継ぎの無いお墓が増えてきました。少子化によりお墓の管理をする人が減少し、手入れが行き届かなくなったことが原因といわれています。
しかし、自分のお墓を建てたいと思う人は依然として非常に多いため、お墓を相続してくれる人がいなくなることを覚悟で自分のお墓を建てる人が後を絶たず、
無縁墓の増加に歯止めがかかっていないのが現状です。
今回の記事ではそんな「相続のいないお墓の対処法」について分かりやすくお伝えしていきます。

お墓の跡継ぎがいないとどうなる?

跡継ぎのいなくなってしまったお墓はどうなるのでしょうか。
一般的に継承者がいなくなり、手入れされなくなったお墓を無縁墓といいます。
現在では無縁墓が急増しているためお墓や霊園などでは、もっと厳格で具体的な定義を設けており、
「無縁墓は管理費の未納が5年以上続くもの」などと定義されている場合が多いようです。
無縁墓が見つかった場合は、墓前に看板を立てて縁故者を探したり官報に記載して血縁者を探したりします。
1年以上名乗り出るものがいなかった場合は、墓の中から遺骨が取り出され、自治体の運営する
無縁仏供養塔に納骨され、お墓は解体の上撤去されます。
無縁仏供養塔に収められた遺骨は他の無縁墓から発見された遺骨とセットになり埋葬されるため
持ち主が見つかったとしても永遠に取り出すことができません。

お墓を継ぐことができるひと

では、法律上はどのような人がお墓を継ぐべきなのでしょうか。実は、法律上はお墓を継ぐ人は特に決まっていません。
お墓の継承についてを規定する民法の条文では
「系譜、祭具及び墳墓の所有権は、相続分の規定によらず、慣習に従って祖先の祭祀を主催すべき者がこれを承継する」
と書いてあるため、「慣習に従って」継承するべき人を決めることになります。
もしお墓を所有していた人が亡くなる前に誰かを指名した場合は指名された人が継ぐことになります。
こういった規定のため、誰でもお墓を継ぐことができるのが現在の日本なのです。
例えば、長男長女が継ぐことができなくても次男や次女が継ぐことは全然可能なことなのです。
また、一家の承諾があれば、遠い親戚や血のつながらない他人に継がせることだって可能です。
しかし、血統主義の日本ではそのような継がせ方をする家庭はかなり少なくなっています。

無縁墓が増えていく背景

民法で誰でも継ぐことができるはずのお墓ですが、どうして無縁墓が増えているのでしょうか。
それはお墓を管理することの時間的・金銭的負担が大きいことが挙げられます。
地元のお墓に墓参りのために帰省するだけでも、折角の休日が何日もつぶれてしまい、
おまけに新幹線や高速道路などで大きな出費を強いられてしまうでしょう。
こうした負担を強いられながらもお墓を手入れして維持していくことに意味を見いだせない人たちが増えてきているのではないでしょうか。
民法では、お墓の手入れが明確な義務として規定されていないため、手入れを怠り、墓参りせずに長期間放置したとしても
一切罰則を受けることがありません。こうした民法の整備不足も無縁墓を大量に生み出している一因といわれています。

無縁墓にしないためには

では無縁墓にならないようにするためにはどうすればよいのでしょうか?
無縁墓にならないような対策には大きく分けて以下の2つの方法があります。

墓じまいを行う

経済的負担や時間的負担が手に負えなくなった場合に、もう管理できなくなったお墓を「墓じまい」してしまうという方法です。
「墓じまい」とは遺骨を取り出してお墓を撤去し、お墓のあった土地を更地にして寺院や霊園に返却することを言います。
墓じまいの際には、それまで埋葬していた遺骨をお寺の永代供養に回したり、自分の管理できる墓地に改葬したりします。
墓じまいの費用は50万円程度といわれており、安くはない金額ですが、墓じまい代行サービスなどを利用すれば30万円程度で済ませられることもあるようです。
もし、無縁墓を数年間放置し続けて行政により撤去された場合に撤去費用としてお墓の所有者に
50~60万円以上の金額が請求されることを考えると早めに墓じまいしてしまったほうがオトクであるといえます。

永代供養を利用する

墓じまいによって掘り起こした遺骨や、自分の遺骨を永代供養を利用してお寺に管理してもらう方法です。
永代供養の金額は10~30万円といわれ、お墓を建てるよりも格段に安く済みます。
さらに、永代供養で納めた遺骨はお寺の住職の手により30~50年供養されるためお墓を管理する必要がありません。
これからお墓を建てようとしているけれども将来的に無縁墓になる可能性のある人や
墓じまいをして取り出した遺骨の行き先に困っている方はぜひ検討してみてください。

樹木葬や散骨など

最近はやりの樹木葬や散骨を利用するのも一つです。
樹木葬とは樹木葬は霊園や山の木の下に、遺骨を埋める手法です。許可が下りている土地のみで可能ですが、木が大きな目印になることや
周囲の樹木の栄養となり、里山保護にも役立つという点から自然を愛する人や環境志向の高い人に人気のようです。
また散骨とは、遺骨を粉になるまで砕いてから海や山に撒くことで故人を供養する方法です。
こちらも許可が下りている国有地や海上でのみ可能ですが、自分の好きな場所に埋葬されることができるため
釣り・サーフィンといったマリンスポーツを愛する人や、山登りを愛する人に人気です。
どちらも、費用は5~15万円ほどとリーズナブルでお墓を管理する必要もありません。
これからお墓を建てようとしているけれども将来的に無縁墓になる可能性のある人や
墓じまいをして取り出した遺骨の行き先に困っている方はぜひこちらの手法も検討してみてください。

事前の話し合いが必要不可欠

いかがでしたか?自分の守っていたお墓を無縁墓にしないためには、生前に継承者を見つけて指名するのが有効です。
特に血縁ではない場合でも、隣人や近所の人としっかりと話し合ったうえでお墓の継承を指名するなどの方法があります。
例えば地域の結びつきが強いところでは、隣人の墓を管理・手入れしあう助け合い運動により無縁墓がほぼゼロになった地域もあるようです。
継承者がいないからと言ってすぐにあきらめて放置するようなことは避け、周りの人たちを頼ってみてはいかがでしょうか。
今回の記事が「継承者のいないお墓の管理」という難しい問題について考えるきっかけになれば幸いです。

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