墓石の撤去方法・撤去費用について

最近「墓じまい」をする人が増えてきました。

墓じまいとは、お墓から遺骨を取り出して墓石を撤去し、お墓のあった土地を更地にして寺院や霊園に返却することを言います。

墓じまいは、たいていの場合以下の５ステップで行われます。

• 1.遺骨の改装に際して霊園や自治体から「埋葬証明書」や「受入証明書」「改葬許可書」を取得する。
• 2.墓地の管理人に墓じまいすることを通達する
• 3.閉眼供養を行って墓石を撤去する
• 4.区画を更地にして、霊園や墓地に引き渡す
• 5.新しいお墓に改葬するor散骨する

今回の記事では墓じまいの一連の作業の中でも最もお金と時間がかかるといわれる③の「墓石撤去」の方法と撤去にかかる費用についてお伝えします。

墓石の撤去を行う前にまず、閉眼供養が必要です。

閉眼供養はいわばお墓から魂を抜く作業のことで、お坊さんを呼んでお経を唱えていただくことになります。

閉眼供養を行わずにいきなり墓石撤去を行われる方がいらっしゃいますが、仏教的慣習上は必要不可欠とされているため一応行っておくことをオススメします。

墓石を撤去するには、石材店に撤去を依頼してしまうのが一番です。

自分でやったほうが安いだろうからと撤去作業を自力で何とかしようとする方がいらっしゃいますが、墓石の撤去には重機やトラック、専用の機材が必要になるため自分で行うのはオススメしません。潔く石材店に頼むようにしましょう。

撤去の方法は、墓地の立地によりますがクレーンで近くまで近づき、墓石を釣り上げてトラックに載せて運搬後、工具や機材を用いて解体し産業廃棄物として廃棄するか、リサイクルするという流れになります。

山奥や細い道の先にある墓地などクレーンが入っていけない場所では「背負子」という人たちが背中に墓石を担いで墓石とトラックの間を往復することで墓石の撤去を行います。

こういった場合は、かなりの重労働なのでそのぶん費用も割高になってしまいます。

墓石の撤去費用は墓石の大きさや立地、処分費用などによって大きく変わってきてしまいます。

実際には現地まで石材業者と赴いて見積もりをすることになりますが、平均的な撤去費用の目安は1㎡あたり10～20万円といわれています。

業者によって撤去費用が大きく違う場合もあるので、少なくとも２～３社から見積もりを出してもらうと、無駄な出費をせずに済みます。

墓石の撤去費用を決める要素は以下の通りです。

1.墓石の大きさ、形、重さ

墓石の処分費用は基本的に1トン当たり3000円～5000円といわれているので自分でもある程度の目安を計算することは可能です。

しかし、墓石の重さだけでなく高さも撤去費用に影響します。墓石の高さによって使用する機材が大きく変わってきてしまうからです。

更に墓石を構成するパーツの個数や、五輪塔・香炉などを設置している場合はその処分費用も入ります。

最近では自分の好きなものの形にお墓を作る「デザイン墓」も人気ですが、特殊な形のお墓になるとそれだけ慎重に撤去しなければならず、撤去に時間とお金がかかるので気をつけましょう。

2.墓石の立地

お墓がある場所か斜面なのか平地にあるのか、トラックやクレーンが入っていける場所なのかによって撤去費用は変化します。

特に山の斜面にお墓がある場合の撤去費用は業者によって大きく異なり、かなり高額になってしまうことも多いので、払えない額を見積もりで提示された場合は別の業者を当たってみるのも大切です。

3.巻石の量

巻石とはお墓のまわりを取り囲み、ほかのお墓との境界をなしている石のことで、関東では外柵と呼ばれます。

墓じまいした土地を霊園に返却するときには、区画内の巻石を取り外し、その下の残土を処分する必要があります。

巻石はパーツごとに分解して回収するやり方が主流ですが、巻石の体積によって分解・撤去にかかる費用も違ってくるので、石材店を訪れる前に予め巻石の体積を図っておくことをオススメします。

いかがでしたか？墓石の撤去は先祖代々受け継がれてきたお墓を無きものにしてしまうことでもあります。

先祖代々のお墓は自分のお墓と違い、親戚・親族の思いが詰まっているものでもあるので、撤去を決断する前に家族や親族を集めてしっかりと了承を取るようにしましょう。

承諾がないままに墓じまいを進めてしまうと、後々思わぬトラブルになったり関係性が悪化してしまったりするので、どんなに親しい間柄でも1度は話し合いの機会を持っておくことをオススメします。