お墓の香炉の種類と特徴・選び方とは？

そもそも香炉は線香を置くための台です。線香は、仏教で供養に必要とされる5つの要素「香」「花」「水」「飲食（おんじき）」「灯燭」のうちの一つで、香りによって心身を清め、死者の魂を悟りに導くといわれており、墓参りの際には欠かせないアイテムとなっています。そんな線香を昔は、立てたままの状態で墓前にお供えしていました。
しかし、墓前に立てたままの状態でお供えするとたくさんの線香を焚くことができないばかりか、風によってすぐ消えてしまうことが多々ありました。
こういった悩みを解決し、墓前に線香を寝かせた状態で置けるようにしたのが「香炉」の始まりといわれています。

現在では香炉にも様々なデザインのものが登場し、高級感溢れる華麗なデザインのものやスタイリッシュでオシャレなものなどお墓を飾るアイテムとしての地位も確立しました。
お墓の正面中央に設置する香炉は、お墓全体のイメージを大きく決定づけるため購入するときは墓石とのバランスも考えてより良いデザインのものを選びたいものですね。

香炉には大きく分けて6種類の香炉が存在します。
この章では6種類の香炉の特徴や用途をお伝えしていきます。

1.立置型香炉

昔から使われてきた香炉で、線香は立てた状態でお供えします。香筒に水がたまらないため衛生的な使用が可能です。
屋根なしのものは「屋根なし香炉」といわれ、現在ではほとんど使われていませんが、古いお墓に多く見受けられます。

2.横型香炉

現在、香炉の中で最も主流のタイプの一つで、線香を寝かせた状態でお供えできます。
線香の灰が受け皿に落ちていくためお墓を汚さずに済みます。

3.宮型香炉

神社の屋根を模した屋根が付いた重厚感と威厳が溢れるオシャレな香炉です。
お墓全体に高級感が欲しい場合にはこれをつけると良いでしょう。

4.経机香炉

読経しながらお参りする際に経典を載せるための台を備えた大き目の香炉です。
こちらも高級感と重厚感が感じられ、お墓全体に荘厳な雰囲気を与えます。

5.扉付き香炉

香炉に両開きの扉が付いた香炉です。雨や風が吹いた際に灰が飛び散ったり火が消えてしまったりするのを防げるため多少の悪天候でも線香をお供えすることができます。

6.花立との一体型香炉

花立や水鉢と一緒になったタイプの香炉で、最近人気が高まってきました。多機能で利便性が高いため区画が狭い都心の墓地にうってつけですが、線香と水鉢の温度差により、ほかの香炉よりも劣化が早いという欠点があります。

香炉の価格は原材料や装飾の程度によって数千円のものから10万円を超えるものまで幅広く存在します。
安価で手に入りやすい香炉としてはコンクリート製のものが多く出回っていましたが、劣化のスピードが速いことや見栄えがしないことから、現在では中国製の石材を使った香炉が主流になっています。

香炉を購入する際には重視してほしいポイントが3つ存在します。
1つ目は「サイズ」です。香炉を置こうとするお墓まで実際に出向き、計測してみるのがいいでしょう。特に扉付きの香炉などはかなりの奥行を取るため十分なスペースが必要となります。
2つ目は「色合い」です。墓石との全体的な色のバランスを考慮しましょう。あまりカラーが違いすぎると統一感が出ず、お墓の厳かな雰囲気を損なってしまいます。
墓石と同じ色か、少し暗めのものをチョイスするのが丁度よいのではないでしょうか。
最後は「デザイン」です。例えば、高級感のある宮型香炉や経机香炉をシンプルなお墓や洋型墓石と一緒に置くと、折角の高級感が生かせず浮いてしまいます。
逆に角香炉や横型香炉を高級感あふれる荘厳なお墓に置くと香炉の存在感がなくなり、全体的な威厳が損なわれてしまいます。
香炉を選ぶときは実際に墓前まで行き、香炉の写真を見比べるなどしてお墓全体の統一感を活かせるような香炉を選ぶことが大切です。

いかがでしたか？香炉はお値段もお手頃で、大人の男性なら自分で設置できる重さなので比較的簡単に買い替えることが可能です。
劣化してきたり、デザインが気に入らなくなったりしたら積極的に買い替えていくとよいのではないでしょうか。
また、香炉は熱い線香の受け皿になるため普通に使っていても温度差により劣化を起こしてしまいます。
劣化を防ぐために、少しずつ線香を置くようにすると香炉を華が持ちさせることができるのでぜひ試してみてください。
今回の記事が、「お墓と香炉」についての知識を深めるのに役立つことができれば幸いです。