お墓や霊園の指定石材店制度とはどういった制度なの？特徴について解説

指定石材店制度とは墓地を購入し、墓石を建てようとした場合に、墓地によって墓石の購入を頼める石材店があらかじめ決められているというものです。
公営の墓地や霊園だとそのようなことはありませんが、民営の霊園や寺院の墓地では、敷地内に石材店が数社入居しているビルがあり、墓石を建設する場合は、そのビルに入居している石材店の中から契約をしなければならないことになります。
最近では「知り合いが石材店を営んでいるのでそちらと契約したい」といって指定された業者以外と契約しお墓を建てようとする方がいますが、指定石材店制度を無視したこれらの行為は墓地や霊園の規則に従って拒否される場合が多いです。

どうして指定石材店制度ができたのでしょうか。それは、お墓の維持にかかるコストの大きさに問題があります。
もし、指定石材店制度を設けないと、1つの霊園に様々な墓石業者が出入りし、それぞれのやり方で様々な形のお墓を作成するでしょう。
墓石建設が上手な業者もいれば、非常に手を抜いた墓石建設して帰る業者もいるはずです。
景観や見栄えが大事な霊園にとって、このように手抜き業者に墓地建設を認めてしまうと墓地の見栄えがせず、厳粛な雰囲気が台無しになってしまいます。
さらに、様々なタイプの墓石ができてしまうと、それぞれのタイプに合わせた管理や工事を行わなければならず、霊園維持のための費用がかさんでしまいます。
墓石建設が上手な会社のみに霊園の出入りを許可する指定石材店制度があれば、景観の統一性を保ち、墓地管理費用の抑制を図ることができるため、日本の多くの民営墓地でこの制度が発達したといわれています。

指定石材店制度にはメリットとデメリットが存在します。
指定石材店制度を利用するメリットは以下の２つです。

1.建設後のトラブルにも迅速に対応してもらえる

担当石材店が分かりやすいので、建設後のお墓が破損したり、盗難被害にあったりした場合でも手厚いアフターケアが受けられますし、石材店への修理依頼がしやすくなります。
さらに、霊園の土地所有者に問題解決の協力を求めることができます。

2.工事のクオリティは非常に高い

民営墓地や寺院墓地の指定石材店では、墓地の所有者やお寺の住職さんの信頼を失わないようにと丁寧な墓石建設を行ってくれるはずです。
さらに、指定石材店に任命されるにはそれなりの審査を受けることもあるため、全体として技術力が高い会社ばかりである場合が多いです。

指定石材店制度を利用するデメリットもあります。
デメリットは主に以下の２つです。

1.希望の石材店で購入工事をしにくい

指定石材店制度では、石材店が入居する建物に墓石建設の相談に行くと、持ち回りでその日の会社の営業員が相談に乗り、その後の契約を請け負う慣例があります。
このため、希望する石材店が指定石材店に入っていたとしても工事を依頼することが難しいですし、気になる業者があったとしても指定石材店に入っていない場合は工事を請け負ってもらうことすらできません。

2.費用が割高になってしまう場合がある

指定石材店制度では、他社との比較を行わない場合がほとんどです。さらに、墓石建設やそのアフターケアの相場も一般にはほとんど知られていないため、強気の見積もりを提示してくる業者が少なくありません。

先ほども述べましたが指定石材店制度では、各石材店の間で接客回数に差が出ないようにするため、特にあなたの希望がない場合は、持ち回りでその日の当番会社が接客を行い、その後の墓石建設会社となります。
もし「石材店の担当者の接客態度が悪かった」という場合や「他の石材店とくらべあまりにも高額の見積もりを提示された」という場合は、その業者とは契約しないことも大切です。
石材店とのお付き合いはお墓を建てて終わりなわけではなく、お墓のメンテナンスや修繕などを通してこの先何十年にもわたった長いお付き合いをすることになりますから、費用や相性を十分に考慮した上で、慎重に選ぶに越したことはありません。

いかがでしたか？指定石材店制度は消費者の中では殆ど認知されていない制度ですので、「どうして贔屓にしている業者を使えないのか」「たまたま担当してもらった業者の営業電話がうるさい」といった様々なトラブルの根源になっているのも事実です。
墓石建設をお考えの方は指定石材店制度をしっかり理解したうえで、気になる業者を指名してみると良いと思います。今回の記事が「指定石材店制度」の理解を深めるきっかけとなれれば、幸いに思います。