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沖縄で墓石をお探しの方に知ってほしい沖縄のお墓事情

立派な納骨堂の扉に大きな屋根、小さな家くらいのサイズはあろうかという大きさの「沖縄のお墓」。
特に貴重なものは世界遺産にも登録されるほど、巨大で荘厳なつくりをしています。
最近ではこういった沖縄の立派なお墓に魅せられて、内地の人でも沖縄に伝統的な琉球墓を作ろうとする人も増えてきました。
今回はそんな方々に向けて、沖縄の琉球墓の歴史や文化的背景、現代事情に至るまで「3分でわかる沖縄のお墓事情」をお伝えしたいと思います。

沖縄のお墓が特別大きくなったワケ

沖縄のお墓が、あれほど大きくなったのには大きく分けて4つの理由があるといわれています。
一つ目の理由は「沖縄が風葬文化だから」というもの。風葬とは石で遺体の四方を囲って放置し、風化により遺体が骨だけになったら、皆で遺骨を洗った後、骨壺に入れて、石でできた納骨堂に安置します。
この遺体を風化させるためのスペースとして広いお墓が必要だったのではないかと考えられています。
2つ目の理由は「門中墓があるから」というものです。門中とは父方の直系家系のことで、代々一族の長を務めます。
門中は墓を共用し、同じ墓に入るというしきたりがあったため、数多くの遺体を安置、納骨できるような大きなお墓が必要だったと考えられています。
3つ目の理由は「墓の前で宴会を開くから」というもの。内地では法事や納骨が終わった後は別会場に移動して宴会を開きますが、沖縄では、墓前で宴会が行われます。例えば毎年4月の「シーミー」といわれる行事では、親族全員での墓参りの後、お墓の前で食事をつまみ、酒を酌み交わします。
こういった宴会のため、墓前に何十人もの人が座れるような大きなスペースができたと考えられています。
最後の理由は「沖縄の気候に適した墓が必要だったから」というもの。
台風シーズンには暴風が吹き荒れ、豪雨にさらされる沖縄では、お墓も雨風をしのげるように立派な石塀や屋根を備えた形に進化していったと考えられています。

琉球墓を見分ける3つのポイント

沖縄の伝統的なお墓は大きく分けて「亀甲墓」「破風墓」「掘り込み墓」の3種類に分類されます。
この章ではこれら3種類のお墓の違いや共通点について詳しく解説していきます。

1.亀甲墓

17世紀に中国南部より伝来し、武人のみが作ることを許されました。
屋根の部分が亀の甲羅のような形状をしていることか名付けられたもので、太平洋戦争中は防空壕の代わりとして利用されました。
小高い丘や傾斜のある部分を彫り込んでつくり、立派な石垣と棺置き場、宴会スペースが設けられているのが特徴です。

2.破風墓

琉球王朝の王族のみが作ることを許された破風墓は、墓の屋根側面に取り付けられた、雨風を防ぐための板である「破風」にその由来を持ちます。
屋根部分が三角形の形をしているのが特徴で、現在では琉球墓のなかでも最も人気のあるデザインをしています。
昔は石造りの破風墓が主流でしたが、現在ではコンクリート造りが主流になりつつあります。
世界遺産に登録されている玉陵などもこのタイプなので観光の際にはぜひ見てみてください。

3.掘り込み墓

琉球地方では「フィンチャー」と呼ばれ、斜面やがけに横穴を掘って作られます。
横穴に遺体を安置し、その後、漆や石を用いて穴をふさぎました。
仮のお墓としての意味合いが強かったようです。

「継ぎ手がいない」沖縄のお墓現代事情

最後に、沖縄のお墓の現代事情についてお伝えしようと思います。
まず沖縄で問題となっているのが「お墓の風化」です。海が近い沖縄では海岸にお墓を立てることもしばしば。
石造りのお墓なら潮風や台風による風化を防ぐことはできますが、コンクリート造りのお墓は塩害や台風の被害を防ぐことができず、墓石のひび割れや倒壊といった現象が多発しているようです。
さらに、「継承者不足」も近年深刻化しています。
門中墓のような大きなお墓は清掃や修繕に多くの人出を必要とするため、管理の負担が大きいものになってきてしまいます。
そのため、最近ではお子さんが本土で働いているようなご家庭だと、距離的、金銭的問題から何世代にもわたって続いた門中墓を自分の代で「墓じまい」してしまうような高齢者も増えているのだとか。
そんな沖縄でここ数年流行っているのが「コンパクトなお墓」。
亀甲墓や破風墓のデザインこそ残すものの、本土と変わらない大きさにした「ミニ亀甲墓」や「ミニ破風墓」を利用する人が増えたほか、本土と同じような和型墓、さらには琉球墓と和型墓のミックスである軸石墓を採用する方も増えたということです。
埋葬も一族が代々所有する海岸や山ではなく、共同墓地や霊園などの利用が増加しているため、海岸や丘に建つ伝統的な琉球墓をどのように守り抜くかが今後の課題となりそうです。

沖縄のお墓選びは慎重に

いかがでしたか?沖縄のお墓選びは管理の面や費用の面を考えても慎重に決定されることをオススメします。

「その日」になるまであまり考えることのないお墓の話題ですが、今回の記事が、墓石選びや供養方法を考えるきっかけとなれば幸いです。

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